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プロジェクト

伝説の、勝利の方程式。

Team KITAZAWA トップ企業攻略への道

インダストリーサポート事業

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MEMBER

伝説の、勝利の方程式。

北沢 智子

1996年入社

懐の広さはグループ随一。
後輩をわが子のように想い、成長のためは時には厳しく接するも、決して本人を見放したりしない。
その人柄に誰もが惹かれる。(競合他社のライバルさえも)

伝説の、勝利の方程式。

大泉 高太

2011年入社

愛知ブロックの責任者(プロジェクト当時)
度胸の良さと、緻密な計画性、仲間への深い愛情は、競合の多い愛知エリアで売上を拡大し続けるブロックの責任者として十分な資質を備えている。
人に見えないところでは、意外に苦労人の一面も。

伝説の、勝利の方程式。

児玉 卓研

2015年新卒入社

仕事もプライベートも常に刺激を求めています。
誰もやらないようなこと、一般的にはスルーされるようなことをやるのが大好きです!
その行動が、実は仕事の成果にも繋がっていたりするんです。

CONTENTS

伝説のボス

「伝説のボス?」
「そう、もちろん、まだバリバリの現役リーダーだけどな。」
「そんなすごい方がいらっしゃるのですか、貴社に?」

先輩訪問に伺いたいという連絡を受け、児玉は浜松町の喫茶店で、大学の後輩へ綜合キャリアオプションの企業状況や未来展望を話していた。
後輩の質問にも実直に答えたつもりだ。ひと通りの紹介を終え、お互いに緊張感も解けたとき、後輩から聞かれた。

「先輩には、会社に尊敬できる先輩っていますか?」

児玉はアイスコーヒーをひと口飲んで、口元をほころばせた。
「いるよ。すごいひとばっかりだ。この会社は。なんで、こんなすごいひとがいるんだ!?と思うひとがフツーにいる、不思議な会社なんだ、ここは。その中でも、すごいリーダーがいる。実は俺もまだ一緒に働かせてもらったことないんだ。だから、聞いた話だ。そういう意味でも、確かに伝説だな。そう、俺がいつか部下として呼んでもらいたい九州ブロックの…伝説のボスだ。」

綜合キャリアオプションは創業時から一流企業と取引できることを目標に全業界にアプローチしている。
しかし、一流企業には必ずと言っていいほど先発の大手人材派遣会社が参入しており、どんなに営業を重ねても新たな契約を開設することは至難の技と言っていいくらいだった。
そんな状況下で、世界に名高い自動車メーカーX社をターゲットにした営業マンがいた。

その人こそ、児玉の言う伝説のボス、九州ブロック統括マネージャー北沢智子。
しかし、ターゲットにしたX社は当時、資本関係にある人材派遣会社でなければ、アポイントの電話すら取り次いでもらえず、訪問しても守衛に断られるのが当たり前であった。

折も折、2008年、世界はリーマンショックの激震に襲われ、日本も例外ではなく経済危機に陥ることとなる。
業界を問わず、すべての企業に襲いかかった激震は北沢チームをも直撃する。
X社と同じく自動車メーカーY社からの人材派遣の依頼が大幅に縮小されてしまったのだ。X社へのアプローチが思うようにならないばかりか、Y社からの依頼縮小で足元さえもおぼつかない最大の危機に面したのである。

万事休す。誰もがそう観念した。天を仰いだ。 ただ一人、北沢を除いて。

諦めはしないものの、北沢の打つ手はなかなか功を奏さない。
ある日、これまでも懇意にしてもらっていたY社の総務部長から北沢に「もつ鍋でも食べに行かんか」と連絡があった。

「北沢さん、ウチのライバル会社にアプローチしとるやろ?」
「えっ?」
「隠さんでよか。知っとるやろ、俺の地獄耳はアンテナ3本いや10本クラスたい(笑)。で、うまくいっとらんとやろ?」
「難しかです。」

「北沢さんには、ほんとうによくやってもらっとるのに、こういう状況になって、ウチも派遣を切らざるを得ず…。北沢さんには申しわけないと思っとる。借りができたね。だけんと言っちゃなんやけど、X社、紹介しようか。俺、あそこの総務部とはツーカーやけん。」

青天の霹靂とはこう言うものか。
予想だにしなかった強力サポーターが現れたのだ。
それからというもの、アポイントの電話はスムーズに取り次いでもらえ、守衛からも門前払いされることはなくなった。
嘘のように交渉は順調に進んだ。こうして、一気にX社の九州工場と人材派遣契約を受注できたのだ。

後輩が怪訝な顔をして聞いた。
「ライバル会社から紹介してもらうことって、よくあることなんですか?」
「まさか、ない、ない。ひとえに北沢さんの人間力の賜ものだよ。北沢さんの口癖は、いまでも『営業の一番ではなく、人間力で一番になりたい』だそうだ。そして、北沢さんの凄味は、そこで終わりじゃないところだ。北沢の伝説たる所以は、ここからなんだ。」

X社の九州工場と派遣契約を結んだ北沢は、ほっとする間もなく、一気にX社の本丸攻めへ狙いを定めた。
九州工場での実績を重ね、コミュニケーションを醸成し、一年をかけて、ついにX社・本社で行われる人材派遣の競合プレゼンテーションに参加することを認められたのだ。しかし、ここでも大きなハードルが待っていた。
プレゼンテーションへの参席まではなんとか漕ぎ着けたものの、九州工場と同様、X社は本社でも、すでに契約実績のある人材派遣会社5社から選ぶという既成路線が轢かれていたのだ。

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伝説のプレゼンテーション

X社・本社会議室。九州から名古屋へ乗り込んだ北沢を待っていたのは、競合5社からの興味と反感の入り交じった視線だった。
重く、冷ややかな空気の中で、北沢はプレゼンテーションの口火を切った。
「ウチは人を連れてくるとは言いません。ウチの社風を買ってください。ウチの社風は社員と社員、店舗と店舗が強く繋がっているのが自慢です。ひとつの店舗には必ず周囲の店舗の協力体制があります。この連結部分は、どこにも負けません。チームの協力体制を買ってください。」
会議室はざわついた。人材計画のプレゼンテーションでありながら、社風を、協力体制を買えという前代未聞のプレゼンテーションに周囲はあ然とするばかりだ。

「社風を買えというが、ちゃんとした人は来るの?」当然、X社の役員から強い口調で質問を浴びせられる。
北沢が口を開こうとするのを同席していた補佐役の矢野が制して、答えた。
「ウチの北沢を見てください。北沢の振る舞いこそが、ウチの象徴です。北沢が責任を持ってお連れする人材が、ちゃんとしていないわけはありません!」

「ハハハハ」矢野の発言に一瞬の間を置き、X社の役員が豪快に笑った。釣られてか、競合5社の参席者たちも苦笑いを隠さなかった。
「綜合キャリアさんには敵いませんなぁ。」
X社の役員がそれまでの難しい表情を一変させ、にこやかに言った。
「北沢さん、社風と…あなたを買ってもいいですか。」
北沢チームは念願の自動車メーカーX社・本社から発注を得たのである。北沢が伝説のボスと呼ばれる日が始まったのである。

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社長への恩返し

「それにしても、北沢さんのパワーの源って、なんなのでしょうか?何が、そこまで北沢さんを駆り立てたんでしょうか?」
後輩も伝説のボスに興味を持ったようだ。

「これも、噂なんだけどなぁ…。北沢さんがウチの入社面接に臨んだのは、ウチが「綜合スタッフ・オプショナリー」という前身名で、創立してまだ6年目くらいの頃だったらしいんだ。それまで数社の入社面接を行ったものの、ガツンとくるものがなかった北沢さんに働く喜びを滔々と、いや熱く、きっと沸騰するくらい熱く語ったのが、神保紀秀。ウチの代表取締役だった。
社会人として一番大事な能力は、この人と働きたいと思わせる『エンプロイアビリティ』だと当時、まったく新しい価値観を語ったそうだ。
そして、まだ創立して間もないにもかかわらず、『いつかX社と付き合える会社にしたい』と宣言したらしいんだ。」
「X社?…X社って。」

「そう、X社だ。北沢さんは、この社長とだったら働きたい!と思い、ウチに入社を決めたらしい。そして、その時の社長の『X社と付き合える会社にしたい』という野望がずっと北沢さんの脳裏に刻み込まれていたんじゃないか。『その野望、私が叶えます!』と逆に社長に宣言したという噂もあるくらいだ。これだけのハードルをひとつひとつクリアして、X社へアプローチし続けたのは、ここまで自分を育ててくれた神保社長への恩返しでもあるんじゃないかって。これは俺の推理の域だけどな。そうそう、北沢さんにどうしたら契約が取れるのか、聞いたヤツがいるんだ。」
「勝つ秘訣、あるんですか?そんな凄い方なら、きっとすごいノウハウを持ってるんじゃ?」
「それがなぁ、勝つための秘策は…負けても、断られても、罵倒されても、這いつくばってでも勝つまで絶対に諦めないこと。そうすれば、最後には勝ってるって。それだけだって(笑)。伝説のボスが編み出した勝利の方程式だ。

九州をスタートに、本社(名古屋エリア)との受注を得た北沢は、以降、大阪エリア、関東エリアとも受注をまとめあげ、2015年に綜合キャリアオプションにとって「東北の悲願」といわれた東北エリアとの人材紹介契約を、2016年に人材派遣契約を締結する。ついに、X社との全国エリアでの契約を果たしたのだ。そして、それは同時に神保社長の野望が遂げられたことを意味した。

「すまんな。急に転勤の辞令が出て。キミのことは人事部に報告しておいたから。ぜひ、ウチに来いよ。」
浜松町のいつもの喫茶店に、児玉は大学の後輩を呼び出した。
「はい、面白い会社だと思いますし、自分の力を試してみたいと思っていますが…児玉さん、転勤なんですか。僕は児玉さんと一緒に仕事させてもらいたいと思っていたのに、正直、ショックですよ。どちらに転勤されるんですか?」
児玉がニヤリと微笑んで、言った。
「うん、それがなぁ。ちょっと遠いんだけどな。」

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