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PROJECT

プロジェクト

悲願のバージョンアップを命ず。

SIPS(戦略システム部門)

WEBマーケティング事業

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MEMBER

悲願のバージョンアップを命ず。

三島 阿佐子

2015年新卒入社

バリバリのリケジョ!スパッとした性格!のつもりなのですが、周りの方からはナゼか真逆の印象を持たれているみたい・・・、ということも「いい意味で」とらえるポジティブさを持ち合わせた「おねーさん」を目指しています。「お姉さん」じゃなく「おねーさん」です。

悲願のバージョンアップを命ず。

青木 勝吾

2006年キャリア入社

じっとしているのが嫌いで、能天気と言ってもいいくらいのプラス思考。
思い立ったら即行動!仲間も巻き込み実行します!

CONTENTS

禁断の扉

「だから、全部やろうとするのは無理だと言ってるんですよ!」
とうとう外部の協力会社のメンバーが、キレた。
修羅場。
その時だ、私の上司がドアをノックして入って来た。そうだ、そもそもこの修羅場は、1年前、この会議室での上司の言葉から始まったのだ。

綜合キャリアオプションのシステム部は、社内でSIPS(シップス)と呼ばれている。私、三島阿佐子はシステム設計者として席を置いて3年。すでに社内の各部署の事情や思惑も理解しながら、システムを開発できる経験値は十分養われていると自負していた。
ある日、私は上司の青木さんから会議室に呼び出された。「三島、プロジェクトXだ。結構、力がいる開発だがやってみるか? 社内外の軋轢も大きいし、正直言って地獄の仕事だ。だが達成感は、その分でかい。ま、手に余ると思うならやらなくてもいいんだが。」

「やります。」
そんな言い方をされると怖じ気づくどころかワクワクさえしてくる私の性格を知ったうえでの打診。ズルいなぁ…私は心の中で苦笑した。私の答えはあらかじめ存じておりますとでも言いたげに、すでに用意されていたファイルの束から、1冊ずつ私に差し出す上司。「かなり項目があるけど全部に目を通しておけよ。外部協力はA社に依頼する。納期はタイトを超えて、きつい。2者間に入ってせいぜい揉まれてくるんだな。」
現実に戻される私。ファイルのタイトルを見た瞬間に後悔が横切った。プロジェクトXとは、「C2バージョンアップ計画」だった。SIPSでは別名「禁断の扉」。ドアを開けたら、地獄行きの切符が手渡される。先輩たちが、そう噂していたのを思い出した。

「C2」とは、派遣社員の情報、企業情報、契約情報など最重要機密が蓄積されているSCGグループの基幹システムだ。いまでこそ社員が当たり前のように使用しているシステムだが、ここまで運用できているのにはSIPSの先輩たちの並々ならない努力と工夫があったからだ。10年前、「C2」が立ち上がり、業務は劇的に効率化を果たした。が、10年の歳月を経て、「C2」も改善の必要に駆られていたのだ。そして、ついに「C2」に追加システムを装備すると「契約管理センター」の決断により、「プロジェクトX」がスタートした。それでもまだ、禁断の扉のドアを開けた私には、青木さんの言う“地獄”の深みを見誤っていた。

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要件定義

システム開発は通常、要件定義から入り、基本設計、詳細設計を経てプログラミングを行う。その後、開発のテスト運用からユーザー評価を経てようやくリリースできるようになる。その間にもさまざまなトラップがあり、たとえばユーザーが試運用するユーザー評価でOKが出なければ、またプログラミングへ振り出しに戻ることも茶飯事だ。まるで終わりのない人生ゲームのようにさえ感じことさえある。しかし、システムの開発で最もプレッシャーがかかるのは何と言っても「要件定義」だ。デジタルの技術職が最も労力を強いられるのが、人間力(アナログパワー)を問われる要件定義だとは皮肉と言えば皮肉だ。ユーザーは時として大変だと感じる業務にフォーカスして、あたかもそこが一番の問題点にように話すが、実は本当に実装するのに必要な仕組みであるのか、コストと時間を踏まえつつ見極めなければならないのも技術職の仕事だ。そんな要件定義をカタチにするため、契約管理センター、A社、そしてSIPSから私の3者で打ち合わせが重ねられていた。

14回目の打ち合わせだったか、とうとう躓いた。
「この仕様は必要ですか?たまたま発生するかもしれないイレギュラーに対して、いちいちシステムを組む必要はあるのでしょうか。」
「いや必要ですよ。発生の頻度は稀ですけど、実際に起こった時局で対応するのがすごく大変なんですよ」
「そのために仕様を増やしたら、それだけ費用と工数が増えますけど、大丈夫なのですか。」
「これ以上費用がかかるのは困りますよ。ただでさえ開発費がかかっているのに…。」
契約管理センターの要望が多すぎて、すべてを実現することが不可能であるのは目に見えていた。打ち合わせの中で、最初は丁寧な姿勢を取っていたA社のメンバーも次第に口調が荒くなっていた。

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火の粉

とうとうA社のメンバーが匙を投げた。クールと言われるシステム開発の人間ですら、感情を抑えきれない空気。会議室は、修羅場と化した。私は焦った。焦りながら妥協案を模索した。
「スケジュールを伸ばしたらどうでしょうか。少しくらいスケジュールを伸ばしても問題ないと思いますし…。」
火に油を注いだ。今度は身内である契約管理センターから火の粉が飛んできた。
「何、呑気なことを言っているんですか。スケジュールを伸ばされて困るのはこちらですよ。早くシステム化してほしいって、前々から言っているじゃないですか!三島さん、このプロジェクトを甘くみてるのではないですか!」
「決してそんなわけでは…。」
「三島さん、しっかりしてください!三島さんがしっかりしなきゃ、先に進まないじゃないですか!」
A社からも怒りの矛先が私に向けられる。
パニックになった。2者間に入って揉まれろ、と青木さんが言ったのは、こういうことだったのだ。

もうダメだ。この凄い剣幕は収拾できない…。深い、深い、地獄の底に引きづり込まれた。もがいても、足掻いても、引きづり込まれる。頭が真っ白になった。もうムリ!…いまにも叫び出しそうな状況の中で、私を現実に呼び戻したのは会議室のドアのノックだった。ドアが開いて、青木さんが顔を覗かせた。
「廊下にみんなの声が響き渡っていて、三島が失敗してやしないかとヒヤヒヤしてます。おい、三島、ちょっと。」青木さんは、私を会議室の外へと手招いた。「すみません…」私は、慌て気味に青木さんへ現状の進捗状況を説明した。「やらなければならないことが多すぎて、一体どうしたらいいのか…。」
「三島、いつも俺が言っていることを覚えているか?」
青木さんがいつものゆったりした口調で話し出す。
「まず、システムは使う人の目的を聞いてイメージをカタチにすることだ。使う人は1人じゃないから、結果、個人の要望が集まると、収集がつかなくなることも想定して、自らをパニックに陥れない。冷静に要望を整理する。それから、自分のしたいことと相手のしたいことは必ずしも一致しないことも念頭に置いておく。常に自分の考えが優れているとは限らないから、相手の意見の方が良いと思ったら、相手の意見を素直に聞き入れる。じゃあ、いまの三島の現状に置き換えたら、どうなんだ?」
「あっ…!」
私は知らず知らずのうちに、手に負えないこの修羅場を収束することを優先し、妥協していることに気付いた。ここは自分の意見をきちんと話さなねばいけなかったのだ。話した後で、もっといい意見が出るならそれを採用すればいい。会議室に戻った。契約管理センターのメンバーもA社のメンバーも、みんな、私が発する言葉を待っていた。
「よろしいですか、目的は追加システムの実装です。このイレギュラー対応は、追加システム全体から見たらほんの2%です。それよりも本流となるシステム構築のスピードを10%上げましょう。その方が全体的に見て、メリットが大きいはずです。」私はA社のメンバーに向かって言う。そして契約管理センターのメンバーの方に向き直って言った。「ここはイレギュラーをイレギュラーにしない方法を考えませんか。たとえば、あらかじめイレギュラーにならないように企業へ依頼することを前提にするとか、社員対応マニュアルに追加して営業トークに盛り込むのもいいと思います。」
そして、メンバー全員に向かって、こう宣言した。
「進めましょう、スケジュール延長も工数、費用の割り増しもなしで。」

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やります

打ち合わせはその後も白熱したものの、確実に空気は変わった。腹をくくって道標を宣言したのが功を奏したか、よい方向に流れ出した。後になって振り返ると、この修羅場が大きなターニングポイントだったとわかる。その日以来、それまでバラバラだったメンバーがチームとして機能し始めた。こうして、さまざまなプロセスを経て、「C2追加システム」は設計、プログラミングからのテスト運用、運用評価を繰り返し、ついに実装までたどり着くことができたのだ。

綜合キャリアオプションのシステム開発部門「SIPS」。そのメンバーの凄いところは、ロジカルより、デジタルより、実はお互いとことん話し合い、自分の意見を主張して時には罵り合い、だけど相手のよい意見は素直に聞き入れて、相手を尊重して仲間と一緒に苦労してつくり上げることができる懐の深さ、人間力そのものかもしれないと私はつくづく思っている。人工衛星のシステム開発さえできてしまう社員が存在するSIPSであるが、つくり上げるシステムはそれぞれのメンバーの人間力の結晶なのだと。

「C2追加システム」は、現在、順調に稼働している。リリース時、私は禁断の扉をこじ開けて、地獄から生還したヒロインとして、みんなから祝福を受けた。一方で、もう迂闊に地獄の扉を開けることはしないと学んだ。そう決めた私であったが、地獄に身を置いた者にしかわからない地獄の甘味も学んでしまった。いつかまた、困難が待っていると知っていても、ビッグプロジェクトに呼ばれることを望んでいる私がいる。

ドアが開いた。入ってきた青木さんと目が合った。
「おい、三島。いま、いいか。」
きっと私の答えは決まってる。
「やります。」

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