2020.08.28
挫折を越え、つかんだ“生きた会計”と“攻めの財務”──CFO補佐・南 順介の挑戦
キャムコムの中の人たち

綜合キャリアグループ(SCG)のCFO(最高財務責任者)補佐として活躍する南 順介。2020年現在は事業投資の企画執行を手掛けつつ、企業提携や幹部候補の採用などに日々奮闘しているが、これまでの歩みは決して平坦ではなかった。そのキャリアの軌跡を通して、グループビジョンの実現に向けた取り組みを描く。
公認会計士を目指すも挫折──失意の中で果たしたSCGとの出会い
南が綜合キャリアグループと出会うまでには、大きな紆余曲折があった。
大学を卒業後、公認会計士を志した南。資格専門学校に通い、勉学に励んだ。
南 「当時は、ひたすら勉強していました。食事と風呂と睡眠時間以外はずっとです。自分で言うのもなんですが、ちょっと頭がおかしいくらいでしたね」
勉強の成果に自信を持ち、実家の長野に帰り監査法人でアルバイトとして実務を積んだ。そして、満を持して受験するも、まさかの失敗。約5年の努力が実らず、南は荒れた。
南 「半年くらい、ひたすら遊び歩いていました。受験に失敗して、心が折れたんです。今考えると、勉強しかしていなかったせいで、メンタル面が不調になっていたんだと思います。最後の方は、いくら勉強しても成績が上がらなくなっていました」
挫折の日々を見かねた母親に進められてハローワークに。そこで南は、経理の社員を募集していた「綜合スタッフ」の求人票を見つける。それこそが、綜合キャリアグループとの出会いであった。
拡大期のSCGで学んだ“生きた会計”──机上ではわからない実務の大切さ
南が入社した2004年当時、綜合キャリアグループは拡大期に突入していた。甲信越から北陸・東北・東海へと展開し、さらに首都圏の事務マーケットにも挑戦。しかし、急拡大する業容がバックヤードの業務を圧迫したため、事業所のスリム化を図ることに。事務センターに業務が集約され始めている時期だった。
入社した南は最初に、当時大きな課題となっていた資金繰りに取り組むこととなった。
南 「当時銀行対応をされていた役員の方に、キャッシュフローの実務をイチから教えていただきました。あれだけ勉強して、理屈では知っていた会計の知識も、実務ではまったく役に立たないと痛感しました。銀行からの借り入れにしても、数字上はただ借入金額が増えるだけです。しかし、実際には応接の仕方ひとつで、借り入れられる額も利率も変わります」
銀行からの当座資金融資は、ひとつ間違えると会社の信用問題に関わるシビアな業務だ。
南 「スタッフさんのお給料支払い日に『口座にお金がありません』では済みません。しかし、安全を図りすぎて借り入れを増やせば、当然利息の支払いが増えて会社の利益が減ってしまいます。なので、顧客からの入金予定をにらみながら借り入れと返済を回していきます。机の上だけではわからない実務ですね」
また、キャッシュフローをしっかり回していくためには、支払と入金の正確な予測も必要になる。南は、それまで売上管理が中心だったしくみを、キャッシュフローを中心とする管理会計のしくみへとつくり上げていく仕事にも取り組んだ。
南 「会社のしくみづくりにも携わり、“生きた会計”、“生きたナレッジ”を学ぶことができました。実務がいかに大事かわかりました」
家業の再建とSCG、二足の草鞋──身につけたものをムダにしないために
かつて猛勉強して学んだ知識を実務の中で経験知へと高めた南。順風満帆だったそのとき、思わぬ転機が訪れる。
父親の体力の衰えにより、実家の家業が継続できない厳しい状況に。さらに、多額の負債返済に窮していた。家業を立て直すため、南は退職を決意した。
南 「私の実家は製氷業を営んでいます。早朝から氷を製造し配達する体力勝負の仕事です。夏場に父が倒れて仕事ができず、お得意様に迷惑をかけることになりました。家業をなんとかしなければならない、と退職を申し出ました。しかしそこで、上司から時間を区切った勤務の提案をしていただいたんです」
夏場に繁忙を迎える製氷の仕事と、フルタイムの財務経理の仕事は両立が難しい。そこで秋季から春季にかけて勤務時間短縮での勤務を提示されたのだった。
南 「『これまで身につけた知識や経験をムダにするのはもったいない。実家のことがきちんと解決したら復帰できるように、できる限り協力しよう』と、おっしゃっていただいたときは本当に嬉しかったです」
肉体的にハードな家業と経理業務の二足の草鞋を続けること4年。ついに南は家業を立て直し、綜合キャリアグループに本格復帰を果たした。
“攻めの財務”としての挑戦──株式上場の検討を経て、今後に向けて
復帰して早々、南に新たなミッションが与えられた。株式上場の検討である。
リーマンショックの影響で業績が落ちていた綜合キャリアグループは、人材派遣中心のモノカルチャーモデルから総合人材サービス企業への転換期にあった。経営基盤の強化と外部リソースの獲得を目的に、株式上場はひとつの手段として検討されたのだ。
南 「リーマンショックで起こった変化はいろいろありましたが、経営面で大きかったのは、無借金経営に転換できたことです。キャッシュフローをしっかりと回せるようにしていたので、売り上げが落ちる中でも利益を確保していました。また、手もと資金が十分にあるので、銀行からの借り入れに頼らずとも支払能力が十分にありました。結果として、先を見る力につながって、より新しいビジネスモデルや技術への投資を考えることができたのです」
株式上場の検討を進め、外部の知見も入れて今後の目指すべき姿を固めていくことが南の仕事となった。その中で上場のメリットとデメリットを明らかにし、最終的に、株式上場しないという決断を下す。非上場のまま、新たなマーケットに挑んでいくことになる。
南 「上場のメリットはいろいろありますが、人材サービス企業にとって最も大きなメリットは、外部の人材やリソースを手に入れやすくなることです。つまり、採用面での効果が一番大きいんです。ですが、外部のパートナー企業と戦略的に提携・協業を組むことで同じ効果は得られます。逆に、上場することで中長期的な戦略的投資の自由度は落ちます。このデメリットと比較して、“戦略的非上場”を維持することにしました」
それでも、上場を検討する中で得られたものは大きかったと言う。外部パートナーの活用方法や獲得するべき人材像の明確化など、今後のサービス向上に向けてやるべき課題が明らかになったからだ。
南 「2020年現在、グループの事業開発に必要な外部リソースの獲得、提携や採用をメインにしています。いずれ再び上場やM&Aが必要になった際には、グループの経営に“攻めの財務”として寄与したいですね」
グループ売上は1000億円を超える。それをまとめる戦略的財務として、南は今後も挑戦を続けていく。
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