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2019.12.22

マイナンバーが広がる未来を見通し、世に必要とされるサービスをつくる

マイナンバーが広がる未来を見通し、世に必要とされるサービスをつくる

筋金入りのITアーキテクトが繰り広げる「マイナンバープロジェクト」。まだ制度が普及していないころからマイナンバー事業に着目し、多角的視野を持ってサービス展開をしたエンジニアがいた。制度の社会的現状、必要性、そこに継続的な価値を提供している「マイナンバーBPOサービス」の開発に至る背景に迫る。

マイナンバーの登場と同時に動き出したプロジェクト

▲マイナンバーBPOプロジェクトに貢献したエンジニア仲間。苦楽を共にした

マイナンバーは国が個人情報を効率的に管理するために、2007年の年金記録問題を経て個人へ付与した番号である。この制度によって行政業務の本人確認が容易になり、税や福祉制度と連携しやすくなるとうたった。

国民の利便性向上や公平な社会実現のため、2016年1月よりこの社会基盤が本格的に運用されることになった。

内閣府が報じていた2015年10月の制度開始から、企業は個人が保持するマイナンバーを収集し、社員とひもづけしなければならないという事態が発生した。行政に提出する源泉徴収票、給与支払証明書などの書類に、マイナンバーの記載が義務となるためだ。

そこで綜合キャリアグループでも、マイナンバーを収集するプロジェクトが立ち上がった。

プロジェクトの総責任者としてシステム設計、開発、マネジメント全般を行うのは、小池 毅廣(こいけ たけひろ)。小池は大手通信会社のシステムエンジニアとして基幹システム開発の経験を経て、グループの親会社であるキャリアアセットマネジに入社した筋金入りのエンジニア、ITアーキテクトだ。

小池 「制度の導入によって、行政から各個人に送付される通知カードをもとに、グループ社員のマイナンバーの収集と本人へのひもづけを行わなければなりませんでした。プロジェクトは急を要するもので、タイトな時間の中で、データ収集システム構築のためのマネジメントを行わなければならなかったのです」

小池が集積するものは、グループ社員のマイナンバーだけではなかった。綜合キャリアオプションやバイトレの派遣先に従事する、すべての派遣社員のマイナンバーを入手しなければならなかったのだ。それはざっと、5ケタを上回る数であった。

小池 「派遣の担当コーディネータが本来の業務を行いながら、派遣社員のマイナンバーを回収するのは不可能です。そこで、派遣社員が自身でスマホや PCから操作して、マイナンバーを送信することができるシステムの開発を急ぎました」

それが「マイナンバーBPOサービス」開発の発端である。ただ、小池の構想はそれだけでは終わらなかった。

自社のシステムを顧客にも使ってもらいたい──描いた夢の先の落とし穴

小池 「今回のマイナンバー BPOサービスのプロジェクトでは、自社で使うしくみ以上に、顧客に使ってもらえるサービスを目指して開発しました。お客さんに売れるということは、このサービスが企画、システム開発、運用コンサルティングを含めて、競合他社より優れている証明になるからです」

そうでなければ、自社でシステムを開発する意味がないと小池は考える。

小池 「一般的な総務人事は現業もあり、なるべく余分な仕事は避けたいというのが本音でしょう。大手企業では社員が何千人もいるので、マイナンバーの回収だけでも大変な労力になります。ガイドラインのセキュリティ要求を満たしたマイナンバーの保管・運用は社内で処理できるものばかりではありません」

小池は企業への企画提案にあたって、開発エンジニアと運用コンサルタントをあわせて受け持った。チームのメンバーが小池を力強く後押ししてくれた。

小池 「ありがたいことに、数社の大手企業から先行受注をいただきました。包括的にサービス提案できることが強みになったのです」

自社の開発システムを顧客に売り出せるサービスへ。それは小池の構想、積年の想いでもあった。

小池のマイナンバーBPOサービス設計、開発は順調に進む。だが、そこに落とし穴があった。「一度発行された内閣府のガイドラインが、早々変更されることはないだろう」という小池の目論見が、あえなく外れてしまったのだ。

小池 「ちょうど制度がスタートするまで半年というタイミングで、ガイドラインが変わってしまったんです。その時の現場の混乱ぶりは相当なものでした。驚いたことにその後も頻繁に改訂があって、何を正解として進めていいかわからず非常に困惑しました」

小池の苦難はそれだけでは済まなかった。内閣府の頻繁なガイドライン変更により、怒涛の勢いで対応に追われていたのに加えて、さらに追い討ちをかけるように、先行受注をいただいた企業から個別対応の要望が膨れ上がったのだ。

小池 「たとえばマイナンバーの回収方法ですが、A社はWeb、B社は郵送、C社は対面といったように、10社あれば10社とも異なる対応を要求されました」

小池に予想外の業務の重圧がのしかかる。システム開発の遅れ、運用フローの修正、顧客からの問合せなど緊急要素が集中し、順調だった小池の業務は一転した。小池を助けるチームのメンバーにも疲労の色が見え始めた。

それでも小池は、絶対にあきらめなかった。

外部会社を巻き込んだ営業拡販。売り上げは更新の一途!

差し迫る期日の中で、企業とともに定例会を設置し、要件定義からインターフェースまでのすり合わせを、ガイドラインが変更される度に手を抜かず行った。

予測される企業からの要求対応をパターン化するなどして、開発側の工数を極限まで削減した。

小池 「いろいろ度外視したところもありますが、マイナンバー BPOサービスは滞りなくリリースしました。結局、通知カードの配布が 2カ月遅れの 12月になる地域もありましたが……

サービスは、ディフォルメ機能として画像補正処理を加えました。マイナンバーデータをオペレーションセンターに送るとき、画像を自動で修正できるシステムです。送った後は自動でデータが消去されます」

マイナンバーBPOサービスはシステム、運用面でさまざまな付加サービスがある。

小池 「返信封筒にはあらかじめバーコードを表記し、封を開けなくてもバーコード読み取りで差出人が確認できるシステムを開発しました。業務の効率化と煩雑なミスの防止につながっています」

セキュリティも万全に整えた。

小池 「セキュリティ対策としてワンタイムパスワードを導入しました。 IDとパスワード、オペレーションセンターのパスワード 3点をそろえなければならないしくみです。センターのパスワードは毎回変化し、一定の時間が過ぎたら認証不能になるようにプログラミングしました」

小池 「データは通常、暗号コードになっています。このコードをマイナンバーとして認識するために、専用アルゴリズムで解析します」

アルゴリズムを組むのは小池の専門特化だ。ITアーキテクトの技術を注ぎ込んだマイナンバーBPOサービスの機能、保守は精度が高い。

こうして小池の不屈の努力が功を奏し、マイナンバーBPOサービスは軌道に乗った。

さらに、さまざまな企業からこの包括的サービスを受けたいという要望が相次いだ。SNSでマイナンバーが収集できるのも使い勝手が良いと顧客企業から喜ばれた。

次第に小池の顧客企業は増え、世の中に認められるサービスとして実証できるまでになった。

小池は営業部隊を拡充し、外部営業代理店を協力者として招き入れた。「このサービスは売れる」と踏んだ代理店は、小池の協業依頼に二つ返事で了承した。小池のマイナンバーBPOサービスを、学校、メーカー、病院、自治体など、さまざまな業種がこぞって使い出したのだ。

マイナンバーはもっと浸透していく。その未来のためにできること

小池 「まだマイナンバーといってもなじみがない人もいると思います。これから世の中に浸透していき、当たり前のように使うことが増えてくるでしょう。たとえば個人のマイナンバーを収入と支出にひもづければ、年末調整はなくなります。福祉サービスを受けるときも手間はなくなり、年金管理もしやすくなります」

マイナンバーは身近な存在になり、連携するサービスも拡充すると言う。

小池 「この先、マイナンバーは保険証にもつながります。少しハードルは高いですが、保険証手続きができるサービスや、病院がカルテと連携できるサービスを開発したいと考えています」

マイナンバーの利用用途が拡がる未来を見越して、企業にメリットのあるサービスを展開したいと小池は話す。

小池 「マイナンバーの基幹システムを制作して売り上げに貢献できることは嬉しいです。でもエンジニアにとってもっとも嬉しいことは、自分の手がけたシステムがいろいろなサービスと連携しながら拡張し、新しいサービス展開の芽になることですね。この進化するシステムが顧客企業から求められることが、世の中に必要とされる証であり、エンジニアの喜びなので」

何もないゼロ地点から、顧客の要件定義とガイドラインを頼りに、ユーザーインターフェースの設計、プログラミング設計と、システム運用テスト、運用保守に至るまで自ら取り組んできた小池。

システムを開発するために人を集めて、協力を依頼し、説得してきた。チームメンバーのフォローが心の支えとなった。それは小池にとっても何事にも代えがたい、貴重な経験となっている。

小池 「私が担当した顧客企業から、小池さんに依頼して良かった、と言ってもらえたんです。エンジニアだけでなく、提案営業や運用コンサルタントまで、なんでもやってきた醍醐味ですね。何しろ、顧客企業から直接そう言ってもらえたわけですから」

小池の挑戦は限りなく続く。その挑戦こそが、社会に継続して必要とされるサービスになるのだ。

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